変化

引越しをすることになった。
両親からそう告げられたのは、一週間前。

頭が真っ白になりそうだった。
今住んでいる東京から、引っ越す……?
日本一の大都市から、どこに引っ越すと言うんだろう?
行き先として名を挙げられたのは、名前しか知らないような、地方の田舎だった。

嫌だ、と言った。
絶対に引っ越したくない、と。
引越すなら両親だけにしてくれ、と。
しかし、まだ学生の俺に一人暮らしをするだけの資金力はなく、また引越しの原因も父の仕事の関係、しかも栄転であるという理由で、断ることはできなかった。

この一週間、俺は涙ながらに自分の荷物を片付けていた。
両親の手助けも受け入れず、ただひたすらに一人で黙々と。
積み上がったダンボールを前にして、一人でさめざめと泣いた。

ああ、もう、同人誌を買い漁っていた今までの日々とはお別れなのか、と。
涙が次から次へとこぼれた。

ダンボールの中身は、同人誌だ。
俺が集めに集めた、同人誌の数々だ。
中にはちょっとエッチなものまである。両親に見せられるはずがない。
同人誌を買い漁るのが俺の趣味だった。
地方では同人誌を取り扱う店も少ないし、イベントも開かれない。
ああ、俺の同人誌人生は終わったのだと、そのことがただただ悲しかった。

後に、俺は知ることになる。
同人誌は通販でも買えるのだと。都会ではなく、地方に住む人のために、同人誌の通販サイトが充実しているのだと。
通販で購入すれば、どこでだって同人誌を楽しめるのだと。俺が生きるためには、同人誌の通販サイトを上手く利用しなければならないのだ、と。

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